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デジタルプレゼン ワンポイントレッスン
プレゼンテーション技術編
アイコンタクトは奥斜斜
聴衆の目を見ながら語りかけること、これが自然とできる人はプレゼンテーションの勝率が高くなります。どんなプレゼンであっても、前で話している人にはポジションパワー(場の力)が作用します。ある種のスターだと思ってもらっても結構です。そのスターが、私に向いて語りかけたという事実は、聴衆を気分良くさせます。逆に、視線がこなかったら、聴衆は寂しいですし、無視されたと感じることもあります。無視された方は、質問タイムで待ってましたとばかりに、ネガティブな質問で存在感をアピールすることさえあります。プレゼンテーションにおいて、アイコンタクトが重要なことがご理解いただけると思います。
実際プレゼンが終わったあと、目線が合わなかった人から名刺交換を求められることは稀です。また、セミナーでもアンケートで満点をつけてくれない方は、思い起こせばアイコンタクトができなかった方という経験も何度もしてきました。アイコンタクトも漫然とやればよいわけではなく、セオリーに基づいて行う方が良いです。見る順番で、いくつかの方法がありますが、私は奥斜斜法(おくしゃしゃ法と読みます。プレゼンの師匠である越邦晴さんが伝授してくれました)が最も効果的だと思います。左の一番後ろの方から右の真ん中あたりの方、左の一番前の方というようにジグザグに見ていく方法です。Z型など色々試してみましたが、奥斜斜法が聴衆にとって意外性があり、プレゼンターがダイナミックに動いている様に見え、聴衆を惹きこみやすくなります。その分、他の方法に比べて難しいのですが、自転車と同じで最初はヨロヨロとしていても、慣れれば忘れても体が勝手に動くようになります。この方法のメリットとして、通常だといきにくい最前列の隅の方にも必ずプレゼンターの目線がいくという点もあげられます。誰でも、向きやすい方向と向きにくい方向があり、右利きのプレゼンターは一般にプレゼンターから見て右の最前列の方に視線がいきにくいのです。左奥から、奥斜斜で来たら、次は右奥から奥斜斜でいけば必ず最前列の端の方とアイコンタクトできます。なお、真ん中の方は、意識しなくても目線がいく確率が高いので、特に強く意識しなくても大丈夫です。アイコンタクトのポイントとして、上記の見る順番のほかに、1人の聴衆に向ける滞在時間があります。
私の経験からすると、3〜5秒程度が最も良いようです。あまり短いと、語りかけられたという印象が薄くなり、あまり長いとプレゼンターがつらくなります。次の人に行くきっかけは、点(、)か丸(。)です。そのため、話す材料を3〜5秒で点丸で切るように用意することも必要になります。文字にすると10〜15文字程度になります。例えば、「私の得意なことは営業と経理と顧客サポートの3つです」というトークの場合、長すぎてアイコンタクトを切るきっかけができません。ならば「私の得意なことは3つあります。」「ひとつは営業、」「ふたつ目は経理、」「最後は顧客サポートです」としてみたらどうでしょう。
これで4名の方にバッチリアイコンタクトができます。1時間のプレゼンを3〜5秒の連続として構成すれば、全員の聴衆にプレゼンターからのラブコールを何度も送ることができます。特に奥斜斜法では、次の人は遠くにいますので、目線を移す際に、間が生まれます。この間を「えー」という言葉でつぶさないようにしてください。間には言葉と同等(あるいはそれいじょう)のメッセージがあります。
テレビで「みのもんたさん」を見ていればよくわかります。彼は1時間に1000万円を稼ぐそうですが、全体の2割ぐらいは間で稼いでいるのではないでしょうか。その間で、聴衆は時には考えさせられ、時にはことがらを噛み締め時には一緒に怒ります。間で「深めている」のです。皆さんも「みのもんたさん」になったつもりでやってみましょう。
ここで、少人数相手のアイコンタクトについて補足します。5名以上を相手にするのであるならば、上記の通りでかまいません。厳密に奥斜斜ができなくても、あっちこっち目線を飛ばせばよいのです。それ以下の人数になった場合は、同じようにすると、ややアイコンタクト過剰になります。アイコンタクトが重要なことは変わりませんが、手元の資料を使ったり、席の配置を斜めにするなどして、適度に視線を逃がしてリフレッシュすることも考えます。 |
ボディランゲージで大きく見せよう
私は身長166cm、小柄な部類で、顔もどこにでもいるタイプです。大柄で、ホリの深い顔立ちの人が羨ましいです。しかし、そうも言っていられません。そこで、自分を大きく見せ、プレゼンを印象深くするためにボディランゲージを使います。身振り手振りというやつです。ボディランゲージは、アイコンタクトに比べて使うのを躊躇する方も多いのですが、少人数を前にした場合は小さく大人数を前にしたら大きくということを心がければ違和感がなくなるはずです。また、モノの形や大きさなどは口でいってもわかりにくいです。さりとて、すべてをスライドに書いていては大変です。そんな時にもボディランゲージは効果的です。
さらに、「ひろがります」と言いながら両手を左右に広げれば言葉の印象も強くなります。特に自分がインパクトの弱いタイプだと感じている方はやってみてください。ボディランゲージは、型を覚えるより「何でもアリ」と考えた方が良いでしょう。そのためには、話の中に自分の見たことや体験したことを入れていくことがおすすめです。なぜなら、自分の見たことは頭に像が残っているからです。後は、その像を手と体を使って再現すればよいのです。誰でも、「学生時代にやっていたスポーツや習い事のポーズをして下さい」と言われたらすぐボディランゲージができます。逆に人から聞いた話はやりにくいです。なお、人から聞いた話をするときには、その人が話していた時のポーズをボディランゲージで再現して、その人になりきって話すという手があります。会話シーンは聴衆を楽しませるものの一つです。ボディランゲージで盛り上げるとなおさら引き立ちます。
ボディランゲージは残像が長期間残るという点でもメリットがあります。例えば、3日前に、2次会のカラオケボックスで上司が歌った曲を思い出すとします。マイクを持って妙な振り付け(例えばです)をしている上司の姿が頭に浮かび、それにつられて何を歌ったかを思い出せるというのが人間の記憶の構造です。冒頭で記したメラビアンの法則をあてはめれば、振り付け、歌声、歌詞の順に印象が残るのでしょう。プレゼンテーションの内容も覚えておいてもらいたいわけですから、この方法は効果的なのです。 |
スクリーンを指し示す方法
パワーポイントに限らず、OHPでもホワイトボードでも、模造紙でも掲示物を指し示す際の、プレゼンターは多くの場合アイコンタクトをしていません。聴衆の目線は、掲示物とプレゼンターの後姿(パワーポイントだとパソコンを操作をしている姿)を行ったり来たりしています。散漫な印象になり、理解を深めるための掲示物が、聴衆とプレゼンターのラポール(心の掛け橋)を薄めてしまいます。それを防ぐために、良い方法があります。
まず、プレゼンターは掲示物の近くに行きます。スクリーンから遠く離れてパソコンを操作していては、聴衆の注意力も散漫になります。そのため、よほどの大会場の場合は別にして、スクリーンとパソコンを操作するプレゼンターの間を3m以内にします。さらに、プレゼンターは聴衆から見てスクリーンの左側に立ち、左手でスクリーンを指します。右側に立って右手で指してしまうと指したときに影ができ、画面が隠れます。これは聴衆をイライラさせる原因になります。
次に、手で指すのがベストだということです。パソコンのカーソル(矢印)は、遠くからでは見えません。ポインタ(指し棒)は、印象が細く手元の少しのズレが先端に大きく影響し、コントロールが困難です。レーザポインタも止めにくく、聴衆の中には恐怖を感じる人さえいるため、おすすめできません。手が最もパワフルでよいのです。手で指せる位置に画面を配せるなら、是非そうしてください。最後は、指すこととアイコンタクトのタイミングです。
聴衆に向けて話せば良いのですが、掲示物の内容を暗記するのは不可能です。そこで、最初に話す箇所を、まず指します、そしてプレゼンターはキーワードを覚えます。指したまま振り返ってアイコンタクトして話します。次に話すところを指します、またプレゼンターはキーワードを覚えて、振り返って話します。こうすれば、1枚のスライドを3〜5程度のブロックにわけて、3〜5回の動作で、いつも聴衆に向けて話すことができます。100%こうはいかないにしても、半分以上は聴衆に向けて話したいものです。おまけに、もう一つ。ポインタ(指し棒)などを話している最中ずっと手で持ってこね回している人がいます。それもボディランゲージになってしまいますので、ポインタや原稿は持たずにやってください。 |
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