教材フリーダウンロード
オンラインテスト
デジタルプレゼン ワンポイントレッスン
活論・プレゼンの勝負どころ
基本編
プレゼンテーション技術編
パワーポイントスライド制作編
パワーポイントTIPS
おわりに
研修に役立つ本と書評
社員教育リンク集
 
ホーム >  社員教育情報教材 >  デジタルプレゼン ワンポイントレッスン >  パワーポイントスライド制作編

デジタルプレゼン ワンポイントレッスン

パワーポイントスライド制作編


ストーリー構成
 読者の方はやっとパワーポイントの話題に来たと思いましたか、実はこの章もはじめはパワーポイントオンリーではないのです。最初はストーリーです。論法は色々あるのですが、私はシンプルな方法をおすすめしています。
 おすすめの方法は2つです。1つは「損−回避パターン」と称します。データや事実でちょっと聴衆をおどかししてから、救いの方法を提示します。人は誰しも、損したくありません。「こうなったら損ですよね」とネガティブな火をつけて、聴衆に(それは嫌だな)と思ってもらい「でもこうすれば大丈夫ですよ」と消火するシンプルなストーリーです。
 もう1つは「得−ゲットパターン」と称します。人は誰でも得したいです。夢や望ましい状態が現実になっていく過程は好意的に受け入れられます。この方法では「こうなったらいいでしょう」という希望の火をつけておいて、(それはいいけど、そんなことはできるのか)という聴衆の思いに「こうすればできますよ」と策を提示していきます。いずれの方法も、わかりやすく、プレゼンテーション後に聴衆が自らの意思で、プレゼンターの意図した方向に動いてくれる可能性が高い方法です。この2つを混ぜて、「こうなったらいいですよね」、「でもこれはいやですよね」、「こうすれば一気に解決ですよ」と正−反−合で並べる弁証法的なアプローチも新製品、新技術の説明によく使われます。上記の「損−回避パターン」「得−ゲットパターン」とその組み合わせで大概のプレゼンテーションは構成できます。あとは、救いの方法や、実現の策に具体性とロジカルさがあればよいのです。全部をロジカルに組み立てることばかりに気をとられると、聴衆を動かすエネルギーに欠けるプレゼンになりがちです。この方法で組むために、プレゼンテーションを受けてくれる聴衆が何が嫌で、夢は何かを想定する必要があります。事前情報の収集と仮説が勝負になります。試しに、環境分析−背景説明−本論という流れをやめて、この2つの方法でやってみてください。必然的に、事前情報を集めるようになり、聴衆にあわせたプレゼンテーションを心がけるようになり、効果が上がるようになります。


言葉の選び方
 パワーポイントのスライドや説明のトークの中で、使う言葉は注意深く選ぶ必要があります。
 同じことを言われるのでも、言われて嬉しい場合と、ひっかかる場合があります。この表現の差が積もり積もってプレゼンの印象を左右します。例えば、「本日発送します」とクールに言われるよりは、ニッコリ笑って「明日からお使いになれますよ」と言われ方が気分は良いでしょう。プレゼンターには絶えず保身のプレッシャーがかかります。これを断ち切って、聴衆の喜ぶ表現にしてください。ご心配なく、というのも変ですが結果は同じです。「本日発送します」で、終えても「じゃ明日には着くんだな」と突っ込まれて、「たぶん大丈夫だと思います」と返して保身したつもりでも、明日着かなかったら、「どうなっているんだ」と苦情が来ます。ニッコリ笑って「明日からお使いになれますよ」と言った時と結果は変わりません。ならば、聴衆が喜ぶ、聴衆をノセる表現の方が良いですよね。特にメーカーの技術者の方に多いのですが、技術の素人を相手にトウトウと新技術の説明をされるプレゼンをよく見かけます。聴衆の頭には「それがどうした」という吹き出しが付いているのに、プレゼンターは気づきません。聴衆は、「私にどうプラスなの」というところまで来ないと、その価値を認めません。新技術のことを説明してはいけないとは申しません。「**技術により、あなたの日常にこういう得が生まれます」と踏み込んで説明してください。この話は、前段のストーリーで記述していますので、そちらとあわせてご覧いただくと理解が深まると思います。プレゼンテーションの主語は「お客様」「皆様」です。「弊社は」ばかりが主語になるプレゼンでは、プレゼンターの意図した方向に聴衆は動きません。


論理図解(チャートの作り方)
 濃いブルーの背景に、長い文章が、順々に登場するプレゼンテーションを見かけたことはありませんか。
 集中できませんよね。プレゼンテーションの掲示物で文章を見せるのは原則としてよくありません。例えば、どなたかの話の引用や、公式なスローガンなどは、原文通りが良いのですが、説明には文章を使いません。ほとんど単語だけで構成し、ポイントや要約は若干の箇条書きを利用するというのが通常だと思ってください。単語は、バラバラに置くことはできません。あるべき空間に関連付けて置く必要があります。この結果がチャートです。 何とかチャートというのが色々ありますが、様々なチャートを覚えるより、その状況にマッチしたオリジナルチャートを作っていった方が良いです。


表とグラフの見せ方
 パワーポイントが持っている表・グラフ機能や、エクセルの表・グラフ機能を使ってスライドを構成することがあります。多くの場合、作ったところで終わってしまい、プレゼンテーション用のブラッシュアップがなされていません。プレゼンターは分かっているのですが、見ている聴衆はそれを見て何を感じたらよいのか分かりません。表やグラフは吹き出しなどをつけて「この表(グラフ)のここをこう読んでください」というように提示しなければなりません。QC活動などでは「数字に語らせる」と言って、加工することを好まないようです。そのことは否定しません。ここで話しているのはプレゼンテーションにおける表とグラフの見せ方です。「提示したらあとは聴衆が何を感じるか…」としてしまっては、プレゼンターの意図した方向に聴衆を向けることはできません。表やグラフは、作成に工数もかかるので、加工は面倒ですが、そこまでやって完成だと思ってください。
 ちなみに、パワーポイントのグラフについては、最初に作成されるものは、タテ軸の目盛りが多めにとってあります。これは調整するものです。また、エクセルでは文字が大きめになりますので、読める範囲で小さくして、肝心のグラフ部分を大きく見せるようにしてください。共通して線グラフの線は細くて、色が薄いです。線グラフは線を太くして、目立つ色に加工するものです。


アニメーション効果の使い方
 パワーポイントの画面で、色々なイラストが動いたりするのは、作り手にとっては楽しいものです。
 アニメーション映画の監督になった気分です。正直申しまして、私も一時凝りました。特にパワーポイントが流行り始めた会社では、一時期動くアニメーションのオンパレードになります。でも、眉をひそめてそれを見ている方々がいます。私が、セミナーで「アニメーションは必然性の無いときには使わないように」と口をすっぱくして言うと終了後に年配の貫禄のある方が私のところに来て「よくぞ言ってくれた、私はあれが大嫌いだ」と言いながら名刺を出されることがよくあります。名刺に書かれた肩書きは高いポジションで決済される立場にいらっしゃる方のようです。そういう方が、無意味なアニメーションに不快感を持っていることを忘れてはいけません。
 アニメーション効果を使うな、と言っているわけではありません。そうした方が理解が得られやすいときに、さりげなく使うということです。脈絡無く、これ見よがしに、使ってはいけないということを強く言いたいと思います。


一つ前のページへ 次のページへ


ライン